Hab gedacht dass ich tot bin
海外で生活するという事は決して楽な事ばかりではなく、日本人にとっては変化が大きく文化や言葉など対応すべき点が多く難しいのかもしれない。
慣れるには時間が必要であり、文化を受け入れる事、言葉を覚える事は時間がかかる。
自分は慣れるのに時間が必要だし、言葉も未だに完璧とは程遠い。
苦しい思い出は少なくないし、文化や言葉の違いによって体験した苦しみはそれなりに自分を成長させたと思う。
ただ思わぬハプニングは時間をかけて解決していく事だけでなく、自ら考え行動しなければ状況を打開出来ない。
あまり多くの人が体験した事の無いであろうエピソードを一つ。
人を頼る事の大切さ、人の温かさを感じた体験を。
自分が初めてドイツに行った時の事。
ミュンヘンからベルリンを経由し、チームのある町まで行く事になったのだが、当時の代理人はサポートがあまり良くなく、自分でバスや電車を使って移動しなければならなかった。
ミュンヘンからベルリンまではバス、そこからは電車と新幹線を乗り継いで行く事に。
現地の携帯を用意しろと言われたのだが、どこで買えば良いか、どれくらいの値段でどれを買えば良いのか分からず、WiFiを繋がなければ連絡が取れない状態だった。
そんな状態で移動をしなければならなかったのだが、とにかく指定された駅に行けばチーム関係者が迎えに来てくれるとの事。
初めてのドイツでドイツ語も勉強した事もなかった自分にとっては難しかったが、何とか英語で分かるまで質問しながら移動した。
チケットの買い方も分からず、ドイツではチケットを買わずに電車に乗れるが、それがコントローラーに見つかったら罰金になるリスクも知らずに乗っていた。
幸いコントローラーには出会わず、乗り換えも親切な人達に聞けた事で上手く出来た。新幹線のチケットを受付で買うところまでついてきてくれた人もいた。同じ方向だからと案内してくれた人もいた。
だが、駅名でHauptbahnhof をHbfと略す事が分からず、電車の中で自分の降りる駅を見つける事が出来ず、気付いた時には3つほど駅を過ぎていた。
慌てて折り返し、指定された駅に着けたのだが、言われていた時間から遅れていた事もあり、誰もいなかった。
辺りは既に真っ暗で、本当に何もなかった。
カフェやバーはもちろん、スーパーマーケットやトラムなども見当たらない。
そして自分はWiFiに繋がなければ連絡が取れない携帯しか持っていない。
リュックを背負い、スーツケースを持ち、マイナス15°くらいの真っ暗な初めての場所でどうする事も出来なかった。
何分か待ったのだが、電車の本数もかなり少なく、チーム関係者が来るとも考えられなかったため、自分は行動するしかなかった。
田舎で土地が余っているからだろうか、大きめの一軒家が立ち並ぶ静かなところだった。
その一軒家ひとつひとつにインターホンを押し、質問をした。
Do you have wifi?
今思えばかなり怪しいがそれしか出来なかった。
無い。
分かりきってはいたが何件も聞く。繰り返す。
犬に吠えられては怪しい目で見られる事が続き、隣の家ならあるんじゃないか。と言われた。
その隣の家にまたインターホンを押すと、中から人が出てきてすぐに家に入れてもらえた。
WiFiはあるかと聞くと、
無いけどパソコンは使えるよ。使って良いよ。
この時点で泣きそうだったのだが、とりあえず荷物を玄関に置き、パソコンでFacebookから当時の代理人にメッセージをしたのだが、連絡が全く無い。
何分か経つと、その家の人がシャワー浴びるか?何か飲むか?
と本当に親切にしてもらった。
連絡を待っている時にふと携帯でWiFiを調べると一つ出てきたので聞くと、あっさりパスワードを教えてもらえた。
LINEで代理人に連絡すると迎えが来る事になった。
何故WiFiがあるのにそれが最初に通じなかったのか分からないが、一件落着である。
本当にこの家には感謝しかなく、いくら払えば良い?と言い何ユーロか渡そうとしたのだが、普通の事だからと言って送ってくれた。
正直少し泣いていたが、バレないようにちゃんと挨拶をした。
その後はちゃんとチーム関係者が車で迎えに来て泊まる家まで送ってもらえた。
こんな事もトライアルしなければ経験出来なかったし、人の温かさや厳しさをよく感じれたと思う。
もちろん自分は未熟で準備不足でもあったが、やはりなかなかキツい体験ではあったし、これを知ってもらう事で自分みたいな苦しい体験をしないで済む人が一人でも多くなればと。